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足首が痛くてもコースタイムの長い登山をしたい!~足関節の痛みの軽減と再発予防のための6つの方法~

登山における足関節の痛みとは

急な上り下りや凸凹のある不整地では足関節にかかる負担が大きい。また、濡れている岩や木の根、滑りやすいざれ場ではスリップしたり、足をひねる危険性も高くなる。さらに重い荷物を背負っていることで関節への負担や痛みが生じやすくなる。

関節痛の種類と原因

今回の登山で生じた急性痛と元々呈していた慢性痛が過度の運動で顕在化した場合がある。それぞれで症状・原因が違うので、対処方法も異なったものになる。

<全体像>足関節の痛みの症状⇒原因分析⇒対処方法

ステップ①:足首の痛みの症状を確認しよう

痛みの場所・程度・きっかけ・どんな時に痛むか・どのくらい痛みが続いているか。

熱感・腫れの有無

既往歴(昔骨折や捻挫などをしたことがあるか。前にも痛くなったことがあるか。痛みのある足関節だけでなく、膝や腰、反対の足など含め古傷や痛みはあるか。)の影響や偏平足、外反母趾、X脚やO脚などが生じていないか。

ステップ②:足関節の痛みの原因を分析しよう

急性痛(元々膝の痛みはなく、今回の登山によって生じた痛み)

①捻挫など筋や靭帯の損傷を伴う場合:足を滑らした、転んだ、関節に外力が加わったなどの要因による捻挫。損傷の回復に少し時間がかかる。

②一時的なダメージによる場合:荷物の重さ・勢いをつけて接地などの膝関節への衝撃やひねりを加えた屈伸運動などによる軽度の筋・靭帯の損傷、または過度な筋収縮による筋膜や筋肉の肉離れや長時間の筋収縮による筋肉痛による痛み。

慢性痛(普段から膝が痛むことがある。または登山に行くと膝が痛くなることが多い。)

③膝関節周囲そのものにアプローチが必要な場合:変形性膝関節症や既往の靭帯損傷、膝関節自体に器質的な変化が生じてしまっているもの。また、膝関節周囲の筋肉や靭帯などが硬くなっていたり、筋力が低下していることにより生じるもの。

④膝関節だけでなく、周囲の筋肉の柔軟性や筋力、全身の姿勢にもアプローチが必要な場合:O脚やX脚、反り腰、猫背、偏平足など不良姿勢や骨盤・体のゆがみにより、膝関節に過度でアンバランスな負荷がかかり生じてしまっているもの。また、それらの影響によって、膝関節周囲の筋肉の硬さや筋力もアンバランスになっていることが原因で生じているもの。

⑤体重の減少、荷物の軽量化、コース選定の仕方の見直しなどが必要な場合:体重や荷物などによる負荷の増大と、長時間の登り下りによる膝関節の屈伸運動に起因するもので、現状の筋力や体力で対応できるレベルを超えてしまっていたもの。

*実際には、体重の減少は慢性痛だけでなく急性痛の予防にもなります。また、姿勢の改善や膝関節周囲へのアプローチは慢性痛の予防だけでなく、バランス能力の向上や登山における歩き方の技術向上にもつながり、結果的に転倒や捻挫、膝の痛みの予防に効果が期待できます。(慢性痛の予防は、根本的な原因に対する対策にもなるので、急性痛の予防にもつながります。)

ステップ③:足関節の痛みに対し対処しよう

急性痛:痛みを軽減させるため

①捻挫など筋や靭帯の損傷+一時的なダメージで熱感・腫れの伴う場合:RICE処置を行うことで、炎症を生じている部位への血流を抑えることで、症状の悪化を防ぐ。R:Rest(安静)、I:Ice(冷却)、C:Compression(圧迫)、E:Elevation(挙上)。下山後になるべく早く行う方が効果的になります。登山している最中に痛みが生じている場合も適応できます。痛みが強くなってきたら休憩する。休憩中に冷却スプレーで患部を冷やす。腰かけて足を高くして休む。

②一時的なダメージで熱感・腫れを伴わない場合:疲労により筋肉が硬くなっていて、血流が悪くなり、疲労や痛みの成分がたまってしまっていることが痛みの原因の場合は、患部や全身の筋肉を温めて、ほぐすことで痛みからの回復を促進する。具体的には、温泉に入ったり、膝関節を温湿布などで温める。膝関節周囲や全身のマッサージ・ストレッチを行い、硬く縮まった筋肉をほぐして伸ばすことで、血流の改善を図る。ただし、急性痛(炎症を伴うケース)との識別が難しいため、膝関節の痛みが強い場合は、患部は冷やし、周囲の筋肉や全身は温め、ストレッチする。膝関節周囲は軽めのマッサージにするなど軽めのケアにして様子を見るなど注意して行う。

慢性痛:痛みを予防するため

③足関節周囲へのアプローチ(ここでは最低限のものをご紹介します。詳しく知りたい方は、「」をご参照ください。)

③ー1:くるぶし(内・外)周り・足背のマッサージ:くるぶしの後~下側には、足関節を動かす筋肉が通っています。また、足背の硬さをとることで足関節のつまりをとることができます。これらを柔らかくすることで、つま先の上げ下げや足首を左右へひねる動きをスムーズにさせたり、捻挫を予防する働きがあります。方法①:くるぶし(内・外)の周りをマッサージする。くるぶしの周り(後方から下側)を親指でこするようにマッサージすることでくるぶしにひっかかっている筋肉が動きやすいようにします。外側も同様に行います。特に内側を念入りに行います。方法②:足背の上部(足関節の前方)を指で左右横方向に動かします。筋張った筋肉(こりこりする)が通っているので通りをスムーズにする効果と足関節の前方に隙間を作ることでつま先の上げ下げをしやすくします。

③ー2:ふくらはぎ・すねの内側のマッサージ:足関節をまたいで足首の動きに作用している筋肉が硬く、縮まってしまうと足関節の隙間が狭くなってしまいまいます。隙間が狭くなった状態で足首の曲げ伸ばしやひねる動きなどが過度に加わると足関節の痛みの原因になります。そのためふくらはぎとすねの内側の筋肉をマッサージでほぐして、ストレッチで伸ばすことで痛みが生じにくくなります。方法①:座った姿勢で、ふくらはぎを両手の親指でマッサージしていきます。真ん中をグーっと垂直に押し込んだり、左右に動かしていきます。方法②:すねの骨のきわを両手の親指で押し伸ばしていきます。骨から筋肉をはがすようなイメージで、内くるぶしからすねの骨の真ん中あたりまで少しづつ場所をずらしながら行います。

③ー2:ふくらはぎのストレッチ:③ー2で緩めた筋肉を伸ばしていきます。方法①は立ったまま出来るので、登山の前後、休憩中などにこまめにしっかりと伸ばしましょう。方法①:立って、方法②:両手をついて(詳しい膝関節や筋肉の解剖も知りたい方は「」をご参照ください。)

③ー3:ふくらはぎの筋力トレーニング:

④足関節以外、全身へのアプローチ(ここでは最低限のものをご紹介します。詳しく知りたい方は、「」をご参照ください。)

④ー1:足裏・足指のマッサージ:足裏・足指が硬首が硬いと足関節への負担が増え、痛みの原因になることがあります。また、足裏・足指の機能が弱まってしまうと、バランス能力の低下にもつながり、転倒やバランスを崩しての捻挫など外傷の危険性も高くなってしまいます。そのため、足関節の痛みの予防だけでなく、転倒などの予防のためにも、足裏と足指の運動性を高めていくことは大切になります。方法①:土踏まずをマッサージしていきます。座った姿勢で、踵から母指球に向かって親指でグーと押し込みながら、押し伸ばすように滑らせていきます。何度か行うことで踵と母指球の間をつなぐ足底筋膜という筋肉をほぐしていきます。方法②:足指の付け根をマッサージします。まず両手の親指で母指球と足の人差し指の付け根の間のくぼみを、足裏の時と同様に押しながらこすり上げていきます。何度か繰り返し行い、指の付け根の間をひろげるイメージで行います。その後は、人差し指と中指、中指と薬指、薬指と小指を同様に行っていきます。方法③:マッサージボール(テニスボールも可)の上に足裏をのせて、体重をかけながらゴロゴロと動かします。まずは土踏まず、次に指の付け根の間にボールを当てて、方法①②と同様に行っていきます。

④ー2:足裏・足指のストレッチ:④ー1で緩めた筋肉を伸ばしていきます。方法①:母指球のストレッチを行います。まず片手で足の甲を固定し、もう一方の手で親指の付け根を人差し指と親指をはさみます。そこを支点として、残りの3本の指で親指をしっかりと握り付け根からグルグルと大きく回します。方法②:小指を開くストレッチを行います。まず片手で足の甲を固定し、もう一方の手で足の小指側(指の付け根~外くるぶし)をつかみ、上方向にグーと引き上げていきます。ゆっくりと何度か行い、小指を引き離して足裏を拡げていきます。方法③:足指全体を拡げていきます。まず、足の指の間に手の指をはさみ、手と足で握手をします。なるべく隙間があかないように手の指を奥に入れていきます(痛い場合は入る所まで)。その状態でぐるぐる指全体を回したり、反らせたりしていきます。

④ー3:足裏・足指の筋力トレーニング:方法①:つま先をめいっぱい挙げます。次につま先をめいっぱい下げます。これを10回ほど繰り返していきます。つま先で大きな円を描くように動かすのも有効になります。方法②:足の指でグー、チョキ、パーして指を動かします。できるだけ目いっぱい動かします。方法③:片足立ちをして倒れないように姿勢を保持します。余裕があれば、片足立ちで膝の屈伸をしたり、左右に体をひねって、動きの中でバランスを保ちます。なるべく足部の位置が動かないように行います。