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登山に必要な3大身体要素とは~安全に登山を続けられる体作りのためのトレーニングとは~

登山に必要な3大要素とは

①膝・腰痛の予防(痛みの生じにくい体作り)

②筋持久力を中心とした全身持久力(バテない体作り)

③転倒しないバランス能力(転ばない体作り)

要素①:膝・腰痛の予防(痛みの生じにくい体作り)

痛みの原因となりやすい身体部位:

①ー1.太ももの前側、裏側

登山を趣味とされている方は太ももの筋肉をよく使うので、太ももの筋肉が硬くなっていることが多いです。太ももの筋肉は膝関節をまたいでいるので、筋肉が硬く縮まってしまうことで、膝関節に痛みが生じやすくなることがあります。また、体の使い方で太ももに頼りすぎた体の使い方になってしまっており、お尻の筋肉をうまく使えていない方が多いです。そのため、股関節や腰の痛みも生じやすくなっている方も多いです。

①ー2.太ももの外側、内側

登山では片足立ちで、反対の足を大きな段差の下に伸ばしたり、向きを変えて伸ばしたりすることが多いです。そのため、側方へ倒れないように太ももの両側の筋肉に平地以上に負担がかかります。太ももの内側・外側の筋肉が硬く縮まってしまうことで、膝関節の内側や外側の痛みの原因になることがあります。

①ー3.お尻(股関節をひねる)の筋肉

登山はルートや地面の状態に合わせて、体の向きや足の向きを変える(ひねる)動きが多いという運動特性があります。そのため、ひねる働きを主に担う股関節のひねる柔軟性が大切になります。しかし、日常生活で長時間座っている仕事をしていたり、運転をされている方は、この股関節をひねるお尻の筋肉が硬くなっている方が多いです。股関節のひねる筋肉が硬くなっている状態で、登山を続けていると、膝や腰がひねる動きをかばって行ってしまい、膝や腰の痛みにつながります。

①ー4.猫背に影響する筋肉(胸や肩甲骨、胸椎周りの筋肉)

スマホやパソコンに向かう時間の増え、普段の姿勢から猫背になっている方が増えてきています。猫背の状態で歩いたり、階段を登り下りすることで、腰の負担は増大します。登山は急な上り下りを伴うので、猫背の方の腰の負担はさらに強まってしまいます。また登山はザックをしょって、長時間活動をするので、腰の負担はさらに増えます。

要素②:長時間行動ができる筋持久力(バテない体作り)

②ー1.抗重力筋(太もも前側、ふくらはぎ、お尻、体幹(腹筋、背筋、インナーマッスル))の筋力・筋持久力

特に山道を降りる際には、抗重力筋の遠心性筋収縮という、疲労しやすく、筋繊維の損傷を伴いやすい働きをします。

②ー2.心肺機能を向上させる

登山の特徴として前述した、長時間活動するためには、筋力だけでなく、筋持久力や全身体力が必要になります。筋持久力とは、筋力のように何キロの重りを持ち上げられるというだけでなく、酸素やエネルギーを効率よく取り込んだり、利用する働きも含んだ能力のことをいいます。さらに個別の筋肉だけでなく全身に酸素やエネルギーを循環させ、利用するためには、全身持久力も高める必要があります。スポーツでは、消費カロリーが高いと言われるサッカーやバスケットボールで、500kcal(男性が1時間行った場合)程度のところ、5~6時間の日帰り登山では4000kcal以上消費すると言われています(フルマラソンでも3000~4000kcal )。それだけ長時間、高カロリーを消費する活動を継続させるためには、筋持久力や心肺機能を含めた全身持久力を高めることが大切になります。さらに、登山は高所で活動するため、空気が薄い状況で、酸素を有効に取り込み、体に循環させて、効率よく筋肉で使う能力を高めることも求められます。

③転倒しないバランス能力(転ばない体作り)

登山では、不整地で、大きな段差や、向きを変えながら登り下りする中で、片足立ちやひねる動きでのバランス能力が求められます。また、両手を使う岩場や鎖場、地面が濡れていたり、ザレ場など滑りやすい地面でも踏ん張り、バランスのとれる能力が必要になります。さらに、森林限界では急な突風やなどもあり、外力に抗するバランス能力や、バランスを崩した際にすぐに立て直す瞬発力も求められます。

③ー1.不整地でも滑らないで登り下りを行うための、足と足趾の運動性の向上

不整地で片足で立ってバランスを保つためには、足部と足趾の柔軟性や把持する筋力がより高く求められます。

③ー2.不整地や段差で身体や足の向きを変えてもバランスを保つための、股関節と肩甲帯の運動性の向上

不整地での登り下りを安定して行うためには、股関節と肩甲骨周囲の運動性が必要になります。

③ー3.バランスを崩しやすい状況でも体の軸を保つための、体幹の運動性の向上

バランスを崩しやすい不整地での登り下りにおいて、安定した姿勢、軸を保つためには、体幹の働きが重要になります。体幹の働きとは、インナーマッスルの筋力や背骨の柔軟性、適切な姿勢の維持などを含めます。

*これらの登山に必要な要素が、現状の自分では十分かどうかを認識し、必要があればその要素を改善するためのトレーニングやケアを行います。ご興味のある方は別記事をご参照ください。

登山における3大要素を獲得するためには

登山中だけでなく、普段から適切な姿勢をとるように意識したり、なるべくエレベーターや車は使わずに、階段を使ったり、歩くように心がけることが大切になります。その上で、登山で必要な能力を高めるために、なるべく片足立ちやつま先立ちなどバランストレーニングを行うようにする。また、実際に山に行く機会を作ることも大切なので、目標と自身の身体状態に合わせて登山を行ってください。

まとめ

登山に必要な3大要素を知り、自分の現状を認識することが必要になります。その上で、自分の目標に対しどの要素が足りないかを分析し、改善のために適切な方法を選択することが大切になります。